テーラードジャケットの歴史
-起源から現在まで、その流行と変遷-
テーラードジャケットとは
女性の間で、フォーマルだけど割とカジュアルな場面でも対応OKなジャケットのことを指して、テーラードジャケットと呼びます。
このジャケットは、メンズ用の服の製法を取り入れられて製作されています。一つ一つのパーツの型紙から生地を裁断し、立体的に組み合わせて縫製されたものです。ですから、身体のラインが極めてきれいに反映されるようになっています。
テーラードジャケットの起原
さて今回は、このテーラードジャケットの歴史について振り返ってみましょう。テーラードジャケットは元々モーニングコートの裾を切り落としたスタイルから始まりました。
なんと最初は、寝間着、部屋着やレジャー用として愛用され、アメリカではサック・スーツ（Sack suit）、イギリスではラウンジ・スーツ（Loung suit)と呼ばれていました。
19世紀末から20世紀の初頭になり、アメリカでビジネスマンがスーツとして着用するようになり、それが世界に広まったのです。
このテーラードジャケットの襟に注目してみましょう。これって軍服のスタンドカラーから派生したものなんですって、驚きですね。
軍服からコート、スーツへ
ビクトリア王朝の頃、軍服のスタンドカラーが折り返された折襟（ギリーカラー）の施された狩猟用コートが流行したのですが、その時に第1ボタンをはずして外側に折り返された部分が、下襟へと発展したわけです。
その後最初から、襟の部分を開いたスタイルで仕立てられたものがモーニングコートの襟となり、さらにスーツの形へと受け継がれていきます。スーツは本来スリーピースが源流で、本格派スーツといえばスリーピースのことを指していました。
アメリカの入植初期はツーピースなどなく、スリーピースを着ていました。ツーピースは、そのデザインも着用様式もスリーピースをかなり簡素化したものであると言えるでしょう。
日本におけるスーツの歴史
日本のスーツの歴史は幕末または明治初期から始まり、スリーピースしかありませんでした。またイギリス、アメリカ、フランス製が主な生産国でした。明治時代の日本の男性の洋装と言えばフロックコートが主で、ほとんどの日本人はまだ和装で出歩いていました。
制服（軍服）は、スタンドカラーのスタイルが長い間主流でした。背広が一般民衆の間で広まると、背広のスタイルの制服も取り入れられるようになってきました。
スーツ流行の歴史
スーツの流行の歴史もいろんな変容を遂げています。まず、1930年ごろまでは3つボタンのスーツが主に着用されていました。その後ローリングダウンと呼ばれるスタイル（第2ボタンを留め、第1ボタンを下襟の返しと一緒に開襟するスタイル）が、アメリカを中心として流行しました。
さらにローリングダウンスタイルで着床することを目的として、第2ボタンの上までアイロンがかけられ、第1ボタンを留めないスタイルが登場します。またローリングダウンスーツの第1ボタンがなくなり、2ボタンスーツが第2次世界大戦後まで流行していました。
1960年代になると、海外では3ボタンが再び流行し始めました。日本では1990年代半ばから、また3ボタンが流行することとなります。
バブルの時代には、やや着崩したルーズなスタイルのダブルスーツが流行りました。2000年代に突入するまでは、ヤングの世代はシングルの2ボタン、ミドルエイジはシングル3ボタンが主流でした。2007年ごろから、なんとシングルのローリングダウンの2ボタンのスーツが徐々に復活してきています。またミドルエイジを中心に、ダブルもかなり人気があります。
現在のテーラードジャケット
もともと紳士服であったテーラードジャケットは、現在フォーマルな場面だけでなくカジュアルな場面でも着用され、人々に親しまれています。
そうそう、フォーマルなジャケットは、バブルの頃DCブランドが台頭して大流行しました。その代表例がコムデギャルソンと言えるでしょう。
＊DCブランド・・デザイナーズ・キャラクターズ・ブランドという意味です。
テーラードジャケットは一時期その存在を潜めていましたが、2008年に入り復活してきました。
テーラードジャケットとブランド、着こなし
バーバリーのテーラードジャケットは、歴史的があり格式高い物が製作されています。ウールリッチよりもフォーマルな味わいの物が多く、深みのある黒やブラウンなどのカラーが多く販売されています。ですから、高級なレストランでも食事に行く際に着ていくにはぴったりです。
気品や格式よりも、気軽に着こなせてセンスの良さを発揮したかったら、フレッドベリーの物を選ぶとよいでしょう。縫製にもこだわって気軽に着やすく、しかもモダンで洗練されているのでミセスに好まれています。
テーラードジャケットは本来、紳士物です。ですから、紳士物にも目を向けていきたいと思います。メンズのテーラードジャケットはブレザーよりも軽い生地でできており、気軽に羽織れて普段着にも適応OKです。
インナーにはタンクトップやTシャツと組み合わせて、上着には黒やベージュ、カーキなどを持ってくるのがコツです。胸はVゾーンに粋なアクセサリーを持ってくると、ぐっとオシャレ度が増します。ボトムにヴィンテージデニムを持ってくるのもGood。これって最近トレンドになりつつあるんですよね。
歴史ある紳士服だったテーラードジャケット、時代と共にその着こなしのスタイルも変容してきていますが、今の時代の私達のおしゃれに欠かせない貴重なアイテムになっていることは、間違いないようです。
