来年のバーバリー社との契約終了に備え、イメージ転換を図る三陽商会
バーバリー社としては、三陽商会がブルー、ブラックの両ブランドを継続する場合は、シンボルである騎士のマークやバーバリーのロゴを外すことが条件として提示しています。そこで三陽商会としては、いきなり看板を降ろしたような印象を消費者に与えるよりは、今のうちからイメージチェンジを図っておこうという計画で、新生ロゴでは従来の配置を逆転。
契約終了に備え、まずはロゴのデザイン変更をこの秋からスタート
品の良いベージュ地に、白、黒、赤のラインを配したチェックや、盾を持ち馬にまたがる騎士のマークがシンボルとして有名な英国のバーバリー社。そのバーバリー社とライセンス契約を交わして、派生ブランドを立ち上げ、長年日本のマーケットに合った物作りを行ってきた三陽商会とバーバリー社の契約が、来年の6月で終了することは様々なニュースにも取り上げられ話題を呼びました。三陽商会がバーバリーの監修を受けながらも、トレンドに敏感な若い女性に向けて立ち上げた「BURBERRY BLUE LABEL(バーバリー・ブルーレーベル)」や、スタイリッシュでかっこよさを求める若い男性に向けて立ち上げた「BURBERRY BLACK LABEL(バーバリー・ブラックレーベル)」は、日本だけではなく周辺のアジアマーケットでも人気を博し、三陽商会の柱となるブランドに成長していました。バーバリー社との契約終了に当たり、従来のように「バーバリーの冠」を外さなければならなくなった三陽商会の動きは注目されるところでしたが、このたび契約終了に備えて、新しい動きを見せています。
レーベルの文字を大きくして印象を強める作戦に
来年6月の契約終了後は、バーバリーの名前を外し、「ブルーレーベル」と「ブラックレーベル」を名乗るとの方針を発表していた三陽商会。まず、それに備えて同社が着手したのは、バーバリー・ブルーレーベルとバーバリー・ブラックレーベルのロゴの変更です。以前は、ブルーレーベルのほうは青地に白抜きでバーバリーの騎手のマークと「BURBERRY」のロゴが大きく配され、その下に小さく「LONDON」と入り、全体の1/7ほどのスペースで白地にブルーの文字で「BLUE LABEL」が控えめに入っているデザイン、ブラックレーベルのほうは黒字に白抜きで、大きく騎手と「BURBERRY」のロゴが配され、小さく「BLACK LABEL」が入っているロゴが主でした。ぱっと見た印象は、かなり英国バーバリーのカラーが全面的に打ち出されているインパクトのあるデザインでしたが、今回、三陽商会はそのイメージを払拭し、新星ブルーレーベル、ブラックレーベルのカラーを打ち出しています。
物足りなさをどうデザインでカバーしていくかが課題に
大きく「BLUE LABEL」「BLACK LABEL」のロゴを配し、その下にブラックのほうはかなり小さく「BURBERRY」のロゴを、ブルーのほうは同じ大きさですがベースのブルー地に白抜きで目立たないように「BURBERRY」のロゴが配されています。いずれにしてもこれで来年バーバリーのロゴや騎手マークを取り去っても、消費者の目には突然変わったような印象を与えない…ということが狙いでしょう。
現在、この秋物から両ブランドの公式ホームページや商品のタグ、値札、織りネームなどにも新生ブルー、ブラックのイメージを取り入れています。ただ、今までのロゴに見慣れてきたファンにとっては、やはり騎手の姿もなく、バーバリーの名前も小さいデザインは淋しさを感じるところかも知れません。デザイン的にもどうしても「省略」したイメージが強いので、これで来年になってさらに「BURBERRY」のロゴが消えてしまった場合、かなり物足りない印象になってしまう恐れもあります。ウェブやタグだけならまだ見慣れるということもありますが、商品からも騎士マークや「BURBERRY」のロゴが消えてしまうので、例えばプリントを全面に配したり、ワンポイントとしてあしらっていたりするアイテムの場合、レーベルのロゴだけではデザインとしても物足りないイメージになるかも知れません。大きなウエイトを占めていたロゴやマークの存在が無くなった後、どう商品に今までのイメージを変えることなく魅力を盛り込むかは、これからの同ブランドのMDやデザイナー達の腕にかかってくるところでしょう。縫製力、生産力、ディティール力を誇る同ブランドの今後のアイテム展開が注目されます。