看板ブランド「バーバリー」契約終了後、三陽商会の今後とは!?
40年間以上ライセンシーとしてバーバリーを展開してきた三陽商会
1970年に、英国のファッションブランド「バーバリー社」とライセンス契約を交わし、1980年からは三井物産と共同ライセンシーとして、バーバリーブランドの製品を長年展開してきた三陽商会。日本人の体型や嗜好、のマーケットに合わせた「バーバリーブルーレーベル」や「バーバリーブラックレーベル」など、独自のブランドも展開してきた同社ですが、2015年の6月末をもって、バーバリー社とのライセンスが終了することとなりました。それにともない三陽商会もライセンス生産をしていたバーバリー社の核となっているメインブランド「バーバリーロンドン」の直営店舗はすべてクローズし、丸ノ内や銀座にある路面店は今後どのブランドの店舗として差し替えていくのかは現在検討中です。英国のバーバリー社は、バーバリーブランドの地位確立、日本におけるラグジュアリー商品市場への本格的参入を目指し、今回の契約打ち切りを三陽商会に持ち出しました。バーバリー社としては、2016〜2017年の2年間で、東京の表参道や大阪にフラッグショップを開き、百貨店にも積極的に直営店を順次出店していく予定で、日本でも人気のあるバーバリー製品の売り上げを、現在の4倍に引き上げたいと計画を表明しています。
ブルーレーベルとブラックレーベルは名前や紋章を外して継続
「バーバリー」の名前を外して新しいコンセプトや商品デザインに
三陽商会としては、百貨店内の店舗は「マッキントッシュ・ロンドン」などの他のブランドに差し替える予定ですが、気になるのはバーバリーブルーレーベルやバーバリーブラックレーベルのブランドの行く末です。両方とも若い世代に人気があり、日本のみならず、近隣の韓国などアジアマーケットでも人気があるブランドなので、今後の展開が注目されています。新たに三陽商会が締結するラインセンスは3年契約で、「バーバリー」の名前を外し、そのまま「ブルーレーベル」、「ブラックレーベル」の名前でコンセプトや商品デザインの傾向はそのままに継続されます。
「ホースマーク」も使用することができなくなる
また「ホースマーク」と呼ばれている、盾を持つ騎士が馬にまたがっている紋章も使用することができなくなります。ただし、本家のバーバリーチェックよりも、小さい「マイクロチェック」はそのまま使用することもでき、MDの制約も緩くなるので、今まではできなかったネット販売や広告などの枠も広がり、よりビジネスチャンスが拡大されるのでは、という見方もされています。ただし「バーバリー」の冠を外したブランドが、どこまでファンを惹き付けることができるのか…は定かではなく、某老舗百貨店では「看板のバーバリーがなくなれば、三陽商会との取引は縮小せざるおえない」と述べ、同様の意見だという所も少なくないようです。
マッキントッシュ、ポール・スチュアート、エポカを基幹3事業として充実を図る
三陽商会では、中期5ヶ年計画で「マッキントッシュ」、「ポール・スチュアート」、「エポカ」を基幹3事業に位置づけ、それ以外にもオリジナルブランドを育てるために新規ブランドや新規事業を積極的に開発していく予定です。マッキントッシュ・ロンドンは、バーバリー・ロンドンに変わる「三陽商会の一番の柱」として取引先に営業をかけ、セカンドラインのマッキントッシュ・フィロソフィーも含めて、2018年までに300億円の売り上げを目指します。エポカでは、クリエイティブ・ディレクターにイタリア人デザイナーを起用し、従来の方向性から大人の女性に向けたハイエンドなコンテンポラリーブランドへと転向。単独の路面店などを出店し、ラグジュアリーな国内ブランドとしてイメージアップを図ります。またメンズラインである「エポカ・ウオモ」や、よりカジュアルでリーズナブルなラインで商業施設向けの「ビアンカ・エポカ」の充実を図り、2018年までに150億円の売り上げを目指しています。
三陽商会の中期経営計画によると、バーバリーのライセンス終了に伴い、2016年12月期に850億円まで減少する売上高を、2018年の12月期には1000億円までに回復させるとの目標を掲げています。看板ブランドであるバーバリーが無くなった後、いままで培ってきたライセンスブランドビジネスのノウハウをどこまで活用することができるか、また自社オリジナルのドメスティックブランドの力をどこまで訴求することができるか…三陽商会も正念場を迎えています。