英国バーバリー社、日本での直営店舗売り上げを「3年で4倍」に!
今や、男女問わずオールシーズンのマストアイテムとして毎年トレンドに浮上するトレンチコートの生みの親、バーバリー社。1910年代には英国海軍で50万着以上着用され、その後市民の間に広まったという、ファッションアイテムのなかでも長い歴史と伝統を持つアイテムです。
ライセンス締結先に販売を委ねる体制から、独自の路線に転向
バーバリー社のコートは、日本では1965年にインポートとして三陽商会が輸入を開始し、当時は中高年層に愛用されていました。その後三陽商会では、バーバリー本社とライセンス契約を結び、日本人の体型やセンスなどに合わせたバーバリー・ロンドン他、若い男性マーケット向けのバーバリー・ブラックレーベルや、若い女性向けのバーバリー・ブルーレーベルなどを展開してきましたが、その三陽商会とのイセンス契約も2015年の月末で打ち切ることになりました。三陽商会はバーバリーの名前を使用せず、ブラックレーベル、ブルーレーベルの名前でブランドを継続することになり、かたや、バーバリー社のほうは、従来のようなライセンス締結先に販売を委ねる体制ではなく、独自の路線で販売を行う方向へと転換しました。
デザイン、テクノロジー、イノベーションの分野へ
2014年3月期の決算は、税引き前で8%との増益という、アナリストの予想と一致したバーバリー社。5月には新しい最高経営責任者(CEO)として、クリストファー・ベイリー氏を迎えたばかりです。同氏はバーバリー社に2001年に入社し6年間チーフ・クリエイティブ・オフィサーを務め、商品デザインだけではなく、開発やストアデザイン、デジタルイノベーションなど多岐に渡ってバーバリーのブランドに貢献してきた人物です。前任のアンジェラ・アーレンツの退任を受け、新しくCEOとなったクリストファー・ベイリー氏は、「過去10年に渡り、バーバリーを成功に導いたのは、伝統や英国らしさを忘れることなく大切してきたことと、デザイン、テクノロジー、イノベーションに力を入れてきたことです。今後さらにこの分野の重要性は増していくでしょう」と語っています。その言葉通り、伝統だけを守り続けていくことだけではなく、新しい分野へも積極的に踏み出そうとしている、バーバリー社。2013年にはアップル社とコラボレーションして、2013年のロンドンコレクションにて、バーバリー・プローサムのランウエイを「iPhone5」のIsIGHT cameraで撮影し配信するという試みを行い話題となりました。
日本の直営店の売り上げを「3年で4倍」が目標
そんな動きを見せているバーバリー社ですが、クリストファー・ベイリー氏はライセンス契約が終了した日本のマーケットにおいて、英国バーバリー本社の直営店を強化する方向性を打ち出しています。現在は、三陽商会のライセンスブランドではない、英国バーバリー・ロンドンの店舗は、日本では路面店4店舗、百貨店などの店舗は10店舗ほど。東京の表参道や六本木、銀座ほか千葉、茨城、大阪、京都、宮城などに店舗展開をしています。
英国バーバリー 旗艦店
- バーバリー 丸の内店
- バーバリー 表参道店
- バーバリー 銀座店
- バーバリー 六本木店
- バーバリー 銀座マロニエ通り店
- バーバリー 神戸店
2014年3月期の日本でのこれらの店舗売り上げ高は2500万ポンドで利益は出ていない状態。これを3年後の2017年後には現在の4倍にする計画を打ち出したのです。三陽商会とのライセンスは終了したものの、バーバリーにとっては日本は世界2位の売り上げを誇るので、非常に重要なマーケット国でもあります。クリストファー・ベイリー氏は「日本では東京と大阪を中心に投資をしていく」と表明しているので、これから両都市の代表的な百貨店やステイタス感のあるファッションビルなどに、どんどん直営店がオープンすることが予測されています。バーバリー社の製品が日本に初めて入ってきた時は、体格の大きな英国人と小さな日本人では洋服のパターンやサイズが異なること、高価でかつ重厚なブリティッシュデザインスタイルが当時の日本人には受け入れづらく、高収入の中高年層しか購買が広まらなかったという歴史があります。それを三陽商会が日本人の身体とセンスに合うように独自のブランド展開し、若い世代にも広まるようになったという経緯のあるバーバリー製品。日本での売り上げを強化するために、商品のデザイン面のみならずストアのビジュアルや広告、プロモーションなどの面でもどのようなアプローチを仕掛けてくるのかが期待されるところです。