三陽商会とバーバリーのライセンス関係はどうなる?
バーバリーインターナショナルの本格的な日本市場での活動に伴い、日本国内のバーバリーライセンス製品は縮小の一途をたどり、現在では「BURBERRY BLACK LABEL(バーバリー ブラックレーベル)」と「BURBERRY BLUE LABEL(バーバリー ブルーレーベル)」を残すところとなりました。
2015年6月以降はどうなるのか
バーバリーブラックレーベル及びブルーレーベルの愛好者の方は特に、三陽商会とバーバリーのライセンス契約の存続については気になるところですが、経済評論家の間でもこの問題は高い関心の的になっています。両者の間で協議が交わされる度にニュースになり、動向が話題になりますが、英国バーバリー社は契約の更新に対して否定的な考えであるということが一部報道でありました。ブルーレーベルの日本以外のアジアでの人気は、アジア市場の拡大を考える英国バーバリー本社でも見逃せないものであると考えられますが、本社の考えはまた別のところにあるようです。
過去も含めて日本のバーバリーライセンス製品は、サイズや需要が日本人に合わせた仕様になっており、英国バーバリーの製品とは違う面が多いものでした。英国バーバリー本社では、インポート小物販売の強化目的で設立したバーバリージャパン及びバーバリーインターナショナルの当初の目的から一歩踏み込んで、日本国内のバーバリー製品を本社が企画したラグジュアリーラインの製品に統一したい考えであるとの見方が強いようです。従って、グレードと値段を抑えたブラックレーベル、ブルーレーベルがこのまま生き残ると言うのはかなり難しい状況にあると言えます。
三陽商会とバーバリーの関係
三陽商会とバーバリーのライセンス契約が解消されたとしても、バーバリーインターナショナルには三陽商会も出資しておりますので、三陽商会が英国バーバリー本社との関係が完全に切れるという可能性は薄いと思われます。元々、英国バーバリーがバーバリージャパンを設立し日本で展開していた8年間では、バーバリーのインポート製品はそれほど出回っていませんでした。そこで日本での土台を作った三陽商会との協力関係により、三陽商会が運営していた表参道などの旗艦店も得た上で、現在まで店舗を増やすに至ったのです。そのような理由からも、三陽商会とバーバリーの関係自体は続くと思われますが、ブラックレーベル、ブルーレーベルというブランドの存在がどのようになってしまうのかは不透明なままです。
三陽商会とバーバリーのライセンス契約の始まり
三陽商会は、1964年より三井物産経由でインポートのバーバリーコート独占販売を行っていました。1969年9月には英国バーバリー本社、三井物産、三陽商会の間で本格的に提携が結ばれましたが、重要とされたのは日本国内でバーバリー製品の製造、販売を行うということでした。
その時に結ばれた内容では、バーバリーのライセンスを直接受け取るのは三井物産、それを更に受け取るのが三陽商会という形になっています。英国バーバリー本社との提携は10年間の技術提携も含まれており、この時に三陽商会は様々なものを学んだようです。三井物産と三陽商会は提携して日本国内に次々と縫製工場を設立、三菱商事との連携でも縫製工場を設立しています。現在でもコート製造技術で名高い青森サンヨーソーイングもその一つで、余談ですが、現在三陽商会はその工場との連携で100年コートの企画を行っています。
バーバリー製品の製造は、コート、スーツ、ドレスと個別商品から始まりましたが、1977年からはバーバリーチェックを活かしたバッグや傘、マフラーなどの小物類までに拡大していきました。
現在の日本では、若年層をターゲットにしたブルーレーベルやブラックレーベルが浸透していますが、それ以前はバーバリーと言えば壮年紳士のアイテムという印象が強いと思われる方も多く、どちらも三陽商会とバーバリーとの40年に渡る歴史の1つです。